Kaspersky Labは、ラスター画像をベースにしたスパムを識別する先端技術の特許を取得したことを発表します。
Kaspersky Labは、ラスター画像をベースにしたスパムを識別する先端技術の特許を取得したことを発表します。
スパムフィルタによる検知を回避するために、テキストのかわりに画像を用いたメッセージが配信されることがよくあります。このタイプのメッセージを識別するには、まず画像からテキストを抽出する必要があります。スパムフィルタによる検知を困難にするために、背景の画像に複雑なグラフィックを使用して文字の配列を崩し、にせのフレームやラインを使ってメッセージを分断する手法がよく使われています。
OCR はOptical Character Recognitionの略で、画像内テキストを変換して認識する方法です。ところが、この方法はリソースを大量に消費するうえに、必要なレベルの精度が得られない問題があります。今回特許を取得した技術は、画像内に含まれたスパムの正確かつ迅速な検知を可能にしました。この技術は、テキストを複雑化する目的で画像に追加されたグラフィックを識別する際に、分断されたテキストも識別できます。そのため、検知レベルが飛躍的に上がりました。
新技術のコアとなっているアルゴリズムは、確率に基づいた統計的分析を利用して、画像にテキストが含まれているかどうかを判別します。プログラムは画像の特徴を精査し、このアルゴリズムを駆使して画像内のテキストの有無を判断します。
この新技術の著作者は、Kaspersky Labのアンチスパム技術チームリーダーであるユージン・スミルノフです。特許証は、米国特許商標庁により2010 年 4 月 27 日に発行されました (特許番号 7706613、特許番号 7706614)。
また、改良されたバージョンが、5 月 4 日 に特許番号 7711192 として特許を取得しました。このバージョンでは、最適化されたオブジェクト隔離技術によってオブジェクトの判別がより迅速になったほか、スパムフィルタリング機能も改良されています。
Kaspersky Lab の知的財産担当チーフカウンセル、ナジェジュダ・カシチェンコは次のようにコメントしています。「従来の方法は、シンボルが同じサイズかつ一定の間隔で配置されていないと認識できませんでした。Kaspersky Lab の新技術は、歪んだり変形された文字や単語の認識が可能なので、検知率が飛躍的に向上しています。さらに、画像処理の速度も顕著に上がっています。」
Kaspersky Lab は社員により開発されたIT セキュリティ分野のユニークな技術を対象に、現在米国、ロシア、中国、ヨーロッパで 50 件以上の特許出願を行っています。