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ネットいじめの防止や回避のための最善の方法を解説

ネットいじめ

いじめは、タイプも深刻度もさまざまです。遊び場でのからかいといった単純なものから執拗なハラスメントまで、いじめは、そういった行為をじかに目にした多くの人たちに長きにわたって影を落とします。今や当たり前のSNSプラットフォームの利用やチャットでのメッセージのやり取りといったオンラインコミュニケーションを通していじめがネットいじめへと変化した現在、被害者に及ぼすその心理的、社会的、物理的影響はより一層深刻なものになる可能性があります。

ネットいじめについて親や子どもたちに知ってもらう数々の取り組みが、国を挙げて行われています。医療従事者は、ネットいじめに遭った、あるいは、あっている人たちのサポートやケアをより効果的に行えるよう、特別なトレーニングを受けています。また、学校と家庭の両方でいじめに対応し、また、防止することを目的とした取り組みも始まっています。

当然ながら、すべてを教職員や他の当局者任せにすることはできません。親も、いじめの影響や子どもがネットいじめにあっている場合に示す兆候、ネットいじめの防止やベストプラクティスについて理解しておく必要があります。

いじめの問題への対応は、けして容易ではありません。ネットいじめの被害にあっている子どもたちにはいくつかの行動の変化が見られることが多い一方、ネットいじめについて大人に話したがらない場合があります。一般的に、理由は2つです。1つは、恥ずかしさ。もう1つは、いじめている相手のことを話したと知られたら、さらにいじめがエスカレートするのではという恐れです。

ただ、はっきり言って、ネットいじめを行うのは1人ではありません。事実、ネットいじめは、「PCや携帯などの電子機器を使用して与えられる意図的かつ執拗な危害」と定義されます。

この危害によって、気持ちの落ち込みや不安感、精神衛生上の問題や自傷行為、ひいては自殺などの影響を長期にわたって受けます。だからこそ、親と子どもが協力していじめを止めたければならないのです。また、そのための、リソースやツールといったさまざまな形の支援もあります。さらには、危害を軽減する、そして、上手く行けばいじめの連鎖を食い止められる、親や子どもたちが実行できる、わかりやすいネットいじめ防止のベストプラクティスもあります。

ネットいじめ防止の新たな取り組み

ここ10年以上の間にもネットいじめはありましたが、はるかに多く見られるようになったのは、テクノロジーが進歩してきたここ数年です。残念ながら、ネットいじめが原因の自殺は最近のことでも稀なことでもありません。ネットいじめや心に傷を残すその危害がすべて全国的な注目を呼ぶわけではないものの、2006年以降、子供の自殺が多発したことで、多くの国会議員や教職員、保健当局が対策に乗り出すようになりました。

現在、すべての州でいじめ対策方針が定められ、2004年には、いじめ対策を、「Safe and Drug-Free Schools and Communities Act(安全で薬物のない学校及び地域社会法)」に盛り込むよう米下院で提案されました。2008年には、議会は、ネットいじめに言及する「21世紀におけるこどもの保護に関する法律」を可決しました。とは言っても、すべての州で法律が改正されているわけではなく、ネットいじめも盛り込まれたいじめ防止の法律を定めているのは22州にすぎません。

加えて、多くの人たちがネットいじめをきちんと理解していなかったり、その悪影響を軽視したりしている状況でネットいじめを食い止めるのは困難です。今の若い人たちほどテクノロジーに精通していない古くからある官公庁は、ネットいじめの実態やネットいじめが行われている状況を十分に把握していません。

例えば、子どもたちがいる教室に足を踏み入れたことがあるなら、その多くが、互いに言葉を交わすのではなく、携帯やタブレットを使っていることに気付いたことでしょう。あなたは、その瞬間その場で、ネットいじめの目撃者になっていたかもしれず、それに気付いてすらいなかったかもしれません。いじめる側と被害者は遠く離れている場合もあれば、同じ教室で隣同士で座っている場合もあります。

多くの州が本当に必要な法律を制定しようと躍起になっている一方、親や子どもたちへの助言や教育の責任は他の組織が担っています。今のところ、親ができる最善の策は、stopbullying.govといったウェブサイトで入手可能な情報やリソースを活用することです。

こういったネットいじめ防止のウェブサイトでは、親と子どものいずれもが素晴らしいアドバイスを得られます。こういったネットいじめのベストプラクティスを検討し、それらについて子どもに話してみてください。我が子がネットいじめにあっていない場合であっても、そういった情報は非常に役に立ち、関連性もあります。また、必要としているものの、そういった知識になじみのない人たちにも役立つかもしれません。

親ができること

すでに述べたように、ネットいじめにあっている子どもたちは、多くの場合、助けを求めません。もし話してくれたとしたら、運がいいと思ってください。睡眠不足や学校に行きたがらない、成績が落ちる、携帯やPCを見て動揺するといった子どもの行動の変化に気付いたら、絶対にネットいじめについて子どもと話さなければなりません。子どもがネットいじめにあっている可能性を示す、次のいずれかまたは複数の兆候がないか確認してください。

  • 社会的行動を避ける
  • 普段より部屋に引きこもる
  • 異常に引っ込み思案になる
  • 学業に専念できない
  • 成績が落ちる
  • 学校をサボるまたは学校を休みたいと言う
  • 携帯やタブレット、PCを使っていて動揺する
  • 携帯やPCの画面を親の目から隠す
  • ドラッグを使用したり、アルコールを摂取したりする
  • 暗い心の内を吐露する
  • 自殺について口にする

子どもに話すときには、優しく気遣いながら尋ねるようにします。子どもの口から真実を聞き出す必要がありますが、その場合にも、恥ずかしさから子どもが多くの細部を省くのを覚悟しておいてください。忘れてはならないのは、それが子どもの人生だということです。そして、子どもと力を合わせて状況の範囲を見極め、その上で解決策を見つけることが重要です。

協力する

間違いなく言えるのは、子どもと協力して取り組む必要があるということです。子どもから手綱を奪って采配を振るったり、子どもに何も知らせなかったりするようなことは厳禁です。学校関係者や子どもの友人たちと連絡を取る必要があるかもしれません。そして、その場合には、子どもとの結束を維持できるよう、話した内容を必ず子どもにも知らせます。

落ち着いて、注意深く対応することも重要です。我が子がネットいじめの標的にされていると聞いて怒り心頭に発する気持ちはわかります。しかし、軽率に行動すれば、子どもへのネットいじめをエスカレートさせることになりかねません。慎重に考えた上で対応し、行動に移す必要があります。また、子どもの意見に耳を傾けるようにしてください。子どもが、ネットいじめを止める有効かつ実行可能な解決策を知っていて、あとは権限のある大人の手を借りて実行に移せばいいだけかもしれないからです。

子どもの話を聞く

初めのうち、子どもはネットいじめについて率直に話せないかもしれませんが、ネットいじめに苦しむ子どもたちが真に望むのは、気遣いながら話を聞こうとしてくれる誰かに話を聞いてもらうことです。これこそが、ネットいじめによる心の傷を癒す第一歩です。

最終的には、子どもの自尊心と尊厳の回復を目指します。この目標にたどり着く方法は1つとは限らず、他の家族とは異なる方法を選択する場合もあります。だからこそ、親と子どもが取るべき方法について話し合う必要があります。子どもに親が守ってくれるということをわからせることで、現在の難局だけでなく、今後困難に直面しても回復できるようになるでしょう。

以下は、子どもや若者に向けた、ネットいじめのベストプラクティスを実行するためのアドバイスです。子どもと一緒に読んだり、子ども自身に読んでもらったりしてください。その後、子どもが望むのであれば、内容について話し合ってみてください。

子どもと若者が心がけること

自分のせいだと思わない

面と向かってであろうと、デジタル手段によるものであろうと、いじめられて当然の人などいません。もし今ネットいじめを受けているのなら、それはあなたのせいではないということを理解してください。いじめの被害者が、いじめは自分が招いた結果だと感じるのはけして珍しいことではありません。でも、それは全くの誤りです。もちろん、誰かと口論になったり、相手にしてはいけないことをしてしまったりすることもあるかもしれません。でも、何かあったら、話し合いによって解決すればいいのです。誰かに執拗に、不必要に残酷な行為を行うことは絶対に正当化できるものではありません。

反応しない

ネットいじめに何も反応しないのは難しいことかもしれません。自分の身を守ろうとするのは当然のことです。でも、多くの場合、いじめている側が望むのは、そういう激しい反応なのです。そして、大抵の場合、その反応が拍車をかけ、いじめがエスカレートしていくことになります。あなたの反応がいじめる側にパワーを与え、相手を喜ばせることになります。いじめがさらにエスカレートする可能性もあります。どれだけ傷ついても、どれだけ頭にきても、全力で無視してください。他のことに注意を向けたり、あなたを楽しくさせてくれる友人との関係を大切にしたりしましょう。

証拠を集める

そうは言っても、ネットいじめをすべてはねつけることはできません。スクリーンショットを取ったり、別の方法でいじめのあらゆる証拠を保存したり、いじめが行われた日時を記録したりする必要があります。多くの州で、ネットいじめに厳しい処分を科しています。ネットいじめ対策の厳しい法律がない州であっても、裏付けとなる証拠と共にそういった行為を届け出れば、懲戒処分になる可能性があります。

いじめをやめるよう求める

信じられないかもしれませんが、この方法に効き目がある場合があるのです。いじめる側に面と向かって、耐えられないので、いじめ行為をすべてやめるよう求めることができます。ただし、そうすることに抵抗がない場合に限られます。あなたが自分で決めてください。力になるのであれば、友人に付き添ってもらいましょう。

ためらわずに助けを求める

忘れないでください。あなたはけして一人ではありません。ネットいじめを受けているという問題について話を聞いてくれる人が必ずいます。何らかの理由で親に話したくないと思うのであれば、信頼できる親類や友人、医療従事者または進路指導員や教員などの権限のある大人に相談しましょう。

手元にあるテクノロジーを活用する

ありとあらゆる方法で、いじめを行っている人をブロックしましょう。こちらと相手の両方が使用するSNSやメッセージアプリといったサービスで相手をブロックしましょう。また、利用しているプラットフォームやネットワークサービスにいじめ行動を報告することもできます。それによって、相手のアカウントが停止されるかもしれません。いじめ行為を行う人間が少なくなればなるほど、普通の生活を取り戻せる可能性も高まります。

また、アカウントは必ず非公開にしてください。何人かの友人にパスワードを教えている場合は、すぐに変更してください。残念なことですが、親友が、自らがいじめられないよう、あなたをいじめる側に回ることさえあるのです。

友人を助ける

あなたではなく、あなたの友人がネットいじめを受けていたら、見て見ぬふりをしないでください。自分がターゲットになってしまうかもしれないとしても、声を上げて友人を助けてください。少なくとも話を聞き、そばにいてあげてください。そして、身体的危害も受けているのであれば、万が一のことがないよう、しかるべき機関にそのことを報告してください。

ネットいじめを防止するためのその他の対処

その他にも、ネットいじめをやめさせるための、あるいは、少なくとも、ネットいじめに関わっている者を適切に処分できるようにするための、地域社会で取れる追加的な対策もあります。

教職員に相談する

他の生徒の親と会い、教職員と共に状況に取り組みます。ネットいじめの兆候やいじめ行動を防止するために取れる対策を見つけるための手順を定めたり、トレーニングを実施したりすることを検討します。生徒にネットいじめの影響だけでなく、いじめる側も懲戒処分を受けるということを知ってもらうための説明会を企画するよう求めます。

ネットいじめに対する一般的な認識を高め、安全な学校環境の促進に役立つプログラムは、ネットいじめの抑制と、ネットいじめを目の当たりにした場合にそれを非難するよう促すのに大いに役立ちます。親たちは、専門家に相談することで、子どもにどう話せばよいか、また、いじめ行動にどう対処すればよいかについてより理解を深めることができます。

一般的に見て、どのような形であれ、ネットいじめは耐え難いものであり、いじめに関わるものは法的な処分を受けることになるということを生徒に明確に示すのが、学校としての役割です。教員は、年長の生徒の協力を得て年下の生徒に自らの体験を語ってもらう場を設けることもできます。

より安全なオンライン環境の構築に役立つテクノロジーオプション

ネットいじめという極端な形のいじめを容易にしているのはテクノロジーですが、それを防ぐ、あるいは、少なくともその効果や影響を低減できるのもテクノロジーです。

今日のテクノロジーは、有害または不適切なオンラインコンテンツから 子どもを保護するためのペアレンタルコントロールを豊富に備えています。また、有害なコンテンツから保護したり、画面を見ている時間の制限設定をしたり、オンライン活動を監視したり、GPSで子どもの居場所を追跡したりする機能を提供するサードパーティ製アプリを利用することもできます。

デジタル空間は広大かつ過酷です。好奇心旺盛な子どもたちならいとも簡単に見つけてしまうアダルトコンテンツであふれています。カスペルスキー セーフキッズを活用すれば、子どもが偶然(または意図的に)アダルトコンテンツを閲覧しないよう容易にブロックでき、健康に影響が及ぶほどの時間をオンラインに費やさないようすることもできます。

我が子がネットいじめを受けていと疑われる場合は、手遅れにならないようにしてください。手を差し伸べても拒絶されるのではという不安から、子どもとネットいじめについて話すのをためらわないでください。どんな子どもでも、階層に関係なく、ネットいじめの影響を受けます。ネットいじめに気付くための、また、ネットいじめを防止するための活動や法律、学校が運営するプログラムなどは、ネットいじめの問題に対処する第一歩として役立ちます。しかし、子どもに直接アドバイスし、手を差し伸べられるのは親であるあなただけです。

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もしあなたのお子さんがネットいじめに悩んでいる場合、このコラムで紹介するネットいじめ防止の対処・回避方法を実践してみてください。状況を改善する手助けになるかもしれません。
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