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安全性の高いインターネット接続やデータへのアクセスに欠かせないVPN(仮想プライベートネットワーク)。その利用方法は難しくなく、パソコンにソフトをインストールしたり、スマートフォンにアプリをインストールしたりした上で、必要な設定を行うことで利用できます。

しかし、VPNは比較的新しいサービスであり、利用した経験のある人でも、どういった仕組みで、通信の安全にどのように寄与するのかを詳しく知らない方も多いことでしょう。そこでここでは、安全性の高いインターネット接続に欠かせないVPNの仕組みや、利用するメリット、VPNサービスに必要な機能などを詳しく紹介します。

VPNとは?

VPNは、「Virtual Private Network(仮想プライベートネットワーク)」の略で、公衆Wi-Fiなど公共のネットワークを使用する際などでも、保護されたネットワーク接続を構築できる技術です。一般的にVPNソフトやアプリを利用することで手軽にVPNネットワークを利用できます。

VPNを利用すると、インターネットでやりとりするデータが暗号化され、オンライン上の個人の身元を隠すことができます。暗号化はリアルタイムで実施され、第三者がオンラインでユーザーのインターネット活動を追跡したり、データを盗難したりすることが困難になります。

こうした特性のため、公衆Wi-Fiを利用して重要なデータをやりとりする際などのセキュリティ対策としても合理的で、注目されています。

VPNの仕組み

VPNを使用すると、VPNホストから専用に構成されたリモートサーバーを介し、ネットワーク的にリダイレクトすることでIPアドレスを隠します。

この仕組みにより、VPNサーバーがユーザーデータの送信元となり、ユーザーが訪問したウェブサイト情報やオンラインで送受信したデータの内容は、ISP(インターネットサービスプロバイダ)や第三者から把握されなくなります。

VPNは、ユーザーのあらゆるデータを「意味不明の言葉」に変換するフィルタのように動作するため(暗号化)、誰かがユーザーのデータを入手した場合でも判読することができません。

VPNを利用するメリット

VPNのセキュリティについてのイメージ

VPNの利用にはさまざまなメリットがありますが、ここでは代表的な4つのメリットを紹介しましょう。

暗号化による安全性の向上

VPNを利用していないデータは暗号化されていないため、ネットワークにアクセスできる全員が閲覧したいと思えば閲覧可能です。

しかし、VPNを使用するとデータは暗号化されるため、第三者が読み取るには「暗号化キー」が必要になります。この暗号化キーがない場合、第三者がブルートフォースアタック(総当たり攻撃)を行っても、コードを解読するには数百万年かかります。

VPNを使用することで、公衆Wi-Fiなど公共のネットワークを利用した際もユーザーのオンライン活動を隠すことができるようになり、ハッカーやサイバー犯罪者による暗号化の解除も困難になります。

データ漏えいリスクの低減

社外からリモートで作業している場合、社内ネットワークにある重要なファイルへのアクセスが必要になる場合があります。セキュリティ上の理由から、このような情報には安全な接続が求められ、ネットワークにアクセスするために、VPN接続が必要になることが多くあります。

VPNサービスを利用すると、社内のプライベートサーバーに接続できるだけでなく、暗号化によってデータ漏えいのリスクを軽減したり、データ改ざんのリスクを低減することができます。

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位置情報やIPアドレスの漏えいの防止

VPNを利用すると、基本的に位置情報に関するデータは別の国のサーバーから取得されます。そのため、第三者が実際の位置を特定することができなくなります。さらに、大部分のVPNサービスではユーザーの活動記録は記録されず、ユーザーの行動が記録されるVPNサービスでも、情報が第三者に渡されることはありません。

つまり、VPNを利用することで、ユーザーの行動に関するあらゆる記録が、第三者に知れることはなくなります。また、アクセスが匿名化されるため、IPアドレスを知られることもなくなります。

海外コンテンツにアクセスしやすくなる

自国で利用している動画配信やゲームなどのウェブコンテンツは必ずしも世界中から利用できるわけではありません。多くの場合、ウェブサービス・コンテンツには、自国からのみアクセスすることができるコンテンツが含まれています。

標準的な接続では、国内のローカルサーバーを使用してユーザーの位置情報を判断します。そのため、国外からは自国のコンテンツにアクセスできず、自国からは国外のコンテンツにはアクセスできません。しかし、VPNで接続先を別の国のVPNサーバーに切り替えることで、国外へのコンテンツへもアクセスすることができるようになります。

VPNサービスを選ぶポイントとは?

スマートフォンでVPNを使用しているイメージ

セキュリティを高めるためにぜひ利用したいVPNサービスですが、具体的にどのような機能・性能を備えたサービスを選べばよいのでしょうか。詳しく解説します。

IPアドレスの匿名化ができる

まず重要なのが、IPアドレスが匿名化できることです。IPアドレスの匿名化ができるサービスであれば、ユーザーとVPNサービス運営者以外の誰かに情報が見られるリスクがなくなり、オンラインでの情報の送受信が安全になります。

各種プロトコルが暗号化される

VPNサービスを選ぶ際は、Webページの閲覧履歴、検索履歴、クッキーなどのログが残ることも防止できるものがよいでしょう。

特にクッキーの暗号化は、第三者がウェブサイト上の個人データ、金融データ、その他のコンテンツなどの機密情報にアクセスするのを防止するため特に重要です。

キルスイッチがついている

キルスイッチとは、突然VPN接続が切断された場合にインターネット接続自体を切断する機能です。

キルスイッチがない場合、VPN接続が切断されるとセキュアな接続(安全性の高い接続)も切断されてしまいます。しかし、キルスイッチがあればインターネット接続自体が切断されるので、データ漏えいの可能性を軽減できます。

2要素認証に対応している

2要素認証とは、ひとつのパスワードで認証を完了するのではなく、さらにモバイル端末に送信される認証コードなども使って2段階で認証を行うことです。これにより、第三者からのアクセスが困難になります。

VPNサービスは、セキュリティが強固なことが重要です。そのため、複数の認証方法を採用し、ログインしようとするすべてのユーザーをチェックするサービスを選ぶことをおすすめします。

VPNサービスそのものに信頼性がある

VPNサービスそのものが信頼できることも重要です。なぜなら、VPNを利用することで、ISPはインターネットトラフィックを閲覧できなくなりますが、VPNサービス提供事業者は閲覧可能だからです。

VPNサービスがセキュリティ侵害を受けた場合、ユーザーも被害を受けます。そのため、インターネット活動の秘密を守り、高いセキュリティレベルを確保できる信頼の高いVPNサービスを選択することが非常に重要です。

VPNに関するQ&A

ここでは、VPNに関する疑問について詳しく答えていきます。

VPNはスマートフォンや他のデバイスでも使用できる?

VPNはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどの端末でも使用できます。VPNは、モバイル端末を使用して支払い情報や個人データを保存し、単にインターネットを閲覧する上でも不可欠です。

利用できる端末やOSはVPNサービスによって異なりますが、スマートフォンや他のインターネット接続されたデバイス向けに、多くのVPNサービスが提供されています。「カスペルスキー VPN セキュアコネクション」を含め、そうしたVPNサービスの多くは、Google PlayやApple App Storeから直接ダウンロードできるようになっています。

VPNがあればセキュリティソフトは必要ない?

結論からいうと、セキュアな環境を築くには、VPNとセキュリティソフトの併用が必要です。

なぜならVPNは、総合的なセキュリティ対策製品のようには機能しないからです。VPNを使用することでIPアドレスが保護され、インターネット履歴が暗号化されますが、コンピューターを外部の侵入から保護するわけではありません。

外部からの侵入を保護するには、必ず「カスペルスキー セキュリティ」などのセキュリティ対策製品を使用する必要があります。VPNを使用するだけでは、トロイの木馬やウイルス、ボット、その他のマルウェアからユーザーを保護できません。

マルウェアがデバイスに侵入すると、VPNを実行しているかどうかに関係なく、データが盗難されるなど損害を受ける可能性があります。したがって、セキュリティを最大限に確保するには、VPNと一緒に総合的なセキュリティ対策製品を使用することが重要です。

そもそもなぜVPNを使う必要があるの?

近年、VPNが注目されたことの理由のひとつとして、出張先のホテルや移動時の新幹線などで公衆Wi-Fiを利用して仕事をする人が増えたことや、テレワーク人口の増加、特定のオフィスを持たずにカフェやコワーキングスペースで仕事を行うノマドワーカーが増えたことが挙げられます。

公衆Wi-Fiは、Wi-Fiの提供者が利用者の通信ログを取得できます。セキュリティレベルは提供者次第というのが現状で、情報が盗まれる危険性もあります。盗まれる可能性のあるデータは、パスワード、個人情報、支払い情報、など多岐にわたり、誰がネットワークトラフィックを監視し、何が盗まれるかはまったくわかりません。

また、ログを記録しているのはISP(インターネットサービスプロバイダ)も同じです。ISPは信用できるように思えますが、ユーザーの閲覧履歴を第三者と共有するISPもあります。また、ISPがサイバー犯罪者によるハッキング被害を受けると、ユーザーの個人データやプライベートデータが漏えいする可能性があります。

これらのセキュリティリスクから大切なデータを守るため、VPNによる対策が必要なのです。

まとめ

VPNサービスを利用することで、ユーザーとインターネットの間に安全な接続を確立できます。公衆Wi-Fiを使うケースで特に有効性が高まりますが、ビジネスなどで重要なデータを扱う方は、VPNの利用を積極的に検討すべきです。

一方で、VPNを使用して匿名化および保護できるのは、インターネット上のデータトラフィックのみであることには注意が必要です。VPNを利用するだけでは、ハッカーによる攻撃、ウイルス、その他のマルウェアからユーザーを保護できません。ベストなセキュリティ対策は、信頼性の高いVPNサービスとセキュリティ対策製品を併用することです。

例えば、「カスペルスキー VPN セキュアコネクション」と「カスペルスキー セキュリティ」は併用が可能であり、パソコン、スマートフォン、タブレットで利用可能です。パソコンからスマートフォンまで共通して利用できるサービスを利用することで、安全性を高めましょう。

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