アドウェアは広告付きソフトウェアとも呼ばれ、開発者は画面(通常はWebブラウザー内)に自動で広告を生成することで利益を得ています。一般的にコンピューター用に作成されていますが、モバイル端末でも見かけます。あるタイプのアドウェアは非常にずる賢く、悪意のあるプログラムが侵入する開放口を作ります。
アドウェアとは、見たくない(ときにはイライラさせる)広告をコンピューターやモバイル端末に表示させるプログラムです。一般的に、次の2つのいずれかの方法でユーザーの端末にたどり着きます。
インターネットからダウンロードしたソフトウェアやプログラム(通常はフリーウェアやシェアウェア)にアドウェアがこっそり含まれているのが一般的で、ユーザーは気づかないまま端末にインストールしてしまいます。
無料のソフトウェアに広告が入っていると、うっとうしいこともありますが、これは違法ではありません。しかし、第三者のプログラムがユーザーの同意なしで、その端末に悪意のある広告ソフトウェアを追加したなら、それは違法です。
アドウェアは端末に密かにインストールされ、ユーザーが(誤ってまたは何かの拍子に)表示されている広告をクリックすると動作します。
結局のところ、アドウェアはお金を稼ぐために存在しているからです。
アドウェアの作成者と配布ベンダーは、次のいずれかの形式で第三者から収益を得ています。
アドウェアはまた、ユーザーの検索および閲覧履歴を追跡でき、ユーザーとの関連性が高い広告を表示します。開発者がユーザーの位置と閲覧履歴を入手すれば、その情報を第三者に販売することで、さらなる収益を得られます。
特徴のうち無害な点は、ただ不愉快だということです。アドウェアの大きな悪影響は、有害なマルウェアとなり、サイバーセキュリティに対する脅威になり得る点です。
無害なアドウェアと有害なアドウェアを見分けることが重要です。アドウェアの例を以下に示します。
合法的アドウェア:広告やソフトウェアのプロモーションを表示することに同意を求め、それらの表示で開発者の費用を相殺して、ソフトウェアを無料で提供できるようにしているものです。ユーザーは無料の製品を入手するために、この種のアドウェアのダウンロードに承諾します。また、マーケティング情報の収集を許可する選択をする場合もあります。パーソナライズされた広告やスポンサー付きの第三者のソフトウェアが望ましい場合もあるでしょう。
評判の高い開発者を含め、あらゆるタイプの開発者が合法的アドウェアを作成しています。これは顧客に無料の製品を提供する正当で法的に許された方法です。
ただし、すべてのアプリケーションのダウンロードが同意に基づいているとは限りません。これが法的判断があいまいになる境界線です。
潜在的に迷惑なアプリケーション(PUA)には、端末にインストールすることを選択していない可能性のあるプログラムが含まれます。これらは不審なプログラム(PUP)と呼ばれる場合もあります。
PUAアドウェアはグレーゾーンに分類され、悪意があるか、つまり違法になるかどうかはソフトウェアとその配布者の目的によります。
人が「アドウェア」について話す場合、広告を悪用して、マルウェアを招き入れるプログラムのことを示唆する傾向が見られます。
アドウェアは合法または違法にかかわらず、いらだたしいもので、長期間簡単には検出されない可能性があります。あらゆる侵害ソフトウェアや余計なソフトウェアを避けるために、気をつけるべき点を知っておきましょう。
望ましくないアドウェアに感染している可能性があると、以下のような兆候が見られます。
電話でも、その兆候はコンピューターと似ています。
一部のアドウェアは攻撃的で、ルートキットでシステムの奥深くに入り込みます。こうなると削除は困難です。感染すると、問題のあるアプリケーションをシステムから駆除するために、いくつかの手順を踏む必要があります。
アドウェアが携帯電話に侵入する経路は、エンターテイメントやゲームのような人気のカテゴリにあるアプリです。これらのアプリは無害に見えますが、いったんインストールすると悪意のある動きをする可能性があります。
繰り返しになりますが、アドウェアは比較的無害なものから、極めて有害なものまであります。無害な場合では、インストールすることで、広告を大量に送ってユーザーをただうんざりさせるアプリをダウンロードすることがあります。特に、広告がアプリの外部に表示されるときがあるため、これは迷惑ですし、原因を特定するのが難しくなります。
もっと有害なのは広告詐欺と広告クリッカーソフトウェアです。この場合、アプリが実行ファイルを不正ダウンロードして、バックグラウンドで悪意のある活動を実行します。ユーザーは知らないうちに広告をクリックしたり、代金を支払わなければならない有料サービスに登録されたりする可能性もあります。
アドウェアを削除すると、不快なポップアップや潜んでいるスパイウェアのような、アドウェアの問題の解決に役立つでしょう。
手動削除では、すべてのコンポーネントが見つかる保証はありません。信頼できるソリューションとして、サイバーセキュリティ製品があります。これは、ユーザーが見つけられないものを駆除してくれます。
問題を切り分けるために、以下をそれぞれ検知し、対策を講じる必要があります。
「アドウェア対策」機能がある製品をインストールするのが第一歩です。カスペルスキー インターネット セキュリティなどのソフトウェアスイートは、システムをスキャンし、アドウェアやその他の脅威を取り除きます。
セキュリティ製品のアドウェア検知設定が有効になっていることを確認するのが次のステップです。セキュリティ製品が、デフォルト設定で、アドウェアを検知および削除しない場合があります。
多くの場合、合法的アドウェアプログラムには、アドウェアコンポーネントのアンインストール手順がありません。ウイルスをコンピューターに侵入させ、密かに実行させるために使用されているテクノロジーと類似のものを使っている可能性もあります。広告が無料ソフトウェアを入手するために同意されたものの一部なので、これもまた、本質的に悪意があるとは言えません。
注:多くのフリーウェアおよびシェアウェアプログラムでは、そのプログラムを登録または購入すると即座に広告が表示されなくなります。しかし、一部のプログラムは組み込み型の第三者アドウェアユーティリティを使用しています。これらのユーティリティは、プログラムを登録または購入した後も、コンピューターにインストールされたままになる可能性があります。アドウェアコンポーネントを削除すると、プログラムが正常に動作しなくなることがあります。製品の条件に同意している場合は、これは合法であり、止めることはできません。不安に感じるのであれば、その製品の使用をやめて、完全に削除してください。
アドウェアがコンピューター上に存在する正当な理由があるかもしれないので、ウイルス対策製品が、特定のアドウェアプログラムが脅威を与えるものかどうかを判断できない場合があります。
カスペルスキーの製品では、アドウェアの検出とそれへの対処方法を選べます。
オプション1:アドウェアの削除。カスペルスキーのウイルス対策製品がアドウェアを取り除きます。カスペルスキーのウイルス対策エンジンが検知したアドウェアプログラムが、脅威を与えると考えられる理由は多数あります。
オプション2:アドウェアとして検知しない。カスペルスキー製品には、このようなプログラムを検知しないようにするオプションも用意されています。つまり、特定のプログラムを例外リストに追加して、ウイルス対策エンジンがこのアドウェアを悪意のあるソフトウェアとして検知しないように設定できます。以下に当てはまれば、このオプションを選択しても大丈夫な場合があります。
携帯電話のアドウェアの削除方法が分からないユーザーのために、Android特有のコツをいくつか説明します。
Appleはサンドボックス化されているのと、iOSアプリが相互に通信しないことから、iPhoneにウイルスやマルウェアが入り込むことは(脱獄されたものでない限り)めったにありません。ただし、iPhoneやiPadの広告ポップアップを非表示にすることは可能です。
不要なアドウェアやその他のPUAを一掃することは、サイバーセキュリティを強化するための確実な第一歩です。リスクを最小限にするために、今後のアドウェアの感染を防ぐ方法を知っておくことも大切です。
アドウェアは形式を変えて次々と出現し続けるので、アドウェアを阻止することが、そもそも上記のような問題に対処する必要性を避ける最も賢明な方法です。
コンピューターの健全性を維持する習慣と安全な行動が、セキュリティ全体にとって得策です。一般的に、以下を実践すると、アドウェアからの保護を含め、サイバー脅威全体に対する保護を強化できます。
すべてのソフトウェアを最新に保つ。アプリ、システムドライバー、オペレーティングシステム(OS)、その他のソフトウェアの最新のアップデートには、セキュリティの修正が含まれています。開発者は定期的にぜい弱性を探し、脅威からユーザーを保護するためにソフトウェアにパッチを適用します。
好奇心を持たず、慎重になる。デジタルの世界では、未知のものや珍しいものは潜在的リスクがあるものとして扱ってください。ハッカーは、USB充電ステーションからソーシャルメディアの友人へのなりすましまで、あらゆるものを悪用して、アドウェアとマルウェアに感染させようとします。「これに悪意がある場合、起こり得る最悪の事態は何か」と常に自問し、慎重に行動してください。
細部に注意する。合法プログラムのインストールであれ、メール内のリンクであれ、開こうとしているものや受け入れようとしているものに常に注意を払ってください。犯罪者は信頼されているURL、メールアドレス、ソーシャルメディアのプロファイルをまねて、油断したところを付け込みます。調査する時間を少し取ることで、詐欺だという危険信号が点灯する、奇妙な細部に気づくでしょう。
合法的な活動をする。明らかなリスクはさておき、メディアやソフトウェアの海賊版を使用すると、「無料」を好む人に付け込む怪しい犯罪者に近づくことになります。これらのサービスは知ってか知らずか、アドウェアのインストールを促したり、感染したダウンロード版を提供する場合があります。
無料のコンピューターソフトウェア、モバイルアプリをダウンロードしたり、サイトを閲覧する場合、次のことを実行してください。
ソフトウェアのインストール時には、「次へ」をクリックする前に、必ず規約とチェックボックスの同意事項をすべて読む。スポンサー付きの第三者のソフトウェアの多くはオプトアウトです。つまり、付随しているPUAのインストールを避けるために、チェックボックスのチェックを外す必要があります。
プログラムは信頼できる評判の高いダウンロード元からのみダウンロードする。認知しているブランドからのみダウンロードするようにしてください。信頼できる履歴があることも確認しましょう。Google Playのような公式アプリストアが完全に悪意のあるアプリを排除しているとは言えませんが、安全を保っている可能性は高いでしょう。
レビューを読む。ブラウザーの拡張機能からコンピュータープログラムまで、あらゆるものに関するレビューがオンラインのどこかにあるはずです。ユーザーのフィードバックを検索し、否定的な意見に注目してください。
クリック(またはタップ)前に確認する。一部の広告は、うっかり押したクリックを悪用するソーシャルエンジニアリングに頼っています。偽の閉じるボタン、注意深く配置された確認ボタン、自動のポップアップはすべて、感染したリンクをクリックさせようとしています。それに引っかからないようにしてください。
銀行の取引明細に目を配る。予想外の定額サービスの料金は、携帯がアドウェアの被害に遭っているサインです。
Kaspersky Total Securityなどのウイルス対策製品をお持ちでしたら、アドウェアに対する保護として最高のソリューションの1つをすでに手にしていることになります。
セキュリティ製品は、悪意のあるまたはPUAアプリのダウンロードの阻止、添付やリンクのスキャン、ポップアップのブロックを能動的に実行します。デジタル世界での行動が、身を守るための防御の第一線です。しかし、アドウェアの脅威から身を守るとなると、サイバーセキュリティプログラムが不可欠です。
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